誰でもわかるStoreKitTesting
はじめに
はじめまして。エブリーでiOSエンジニアをしている佐藤です。
DELISH KITCHENで、主にプレミアムサービスや課金周りを担当しています。
今回は、WWDC2020で発表されたStoreKitTestingについて紹介したいと思います。
概要
概要としては以下が挙げられるかと思います。
- AppleStoreサーバに接続せずにローカル課金テストができる
- ローカルでテスト商品を作れる
- 購入トランザクションの管理ができる
- 割引系(お試しオファー、プロモーションオファーなど)のデバッグが可能
- プロモーションオファーはローカルの秘密鍵を作成可能
- レシートはローカルで署名されている
- 課金のユニットテストが可能
ローカルで実行できる課金環境がとても充実してきていますね。
次にStoreKitTestingの導入の流れを簡単に説明していきたいと思います。
Configurationファイルを作成
まずはNew FileでStoreKit Configuration Fileを選択し、作成します。
次にサブスクリプショングループを作成します。
次に課金商品を作成していきます。 選べるのは以下の3つ。
- 消耗型
- 非消耗型
- 自動更新サブスクリプション
作成が終わるとこんな画面になります。
Product IDや期間などは任意で選択可能です。
オファーの作成
更にStoreKitTestingではAppleが用意している様々な購入オファーの選択も可能です。
そのひとつが、Introductory Offer(お試しオファー)
です。
これは初回購入ユーザーに対してアプローチ可能なオファーになります。
選べるのは以下の3つ
- Pay As You Go(都度払い)
- Pay Up Front(前払い)
- Free (無料)
2つ目がPromotional Offer(プロモーションオファー)
これは再登録者や継続ユーザーへアプローチ可能なオファーです。 詳しい実装は割愛しますが、AppleStoreConnectで作成した秘密鍵をもとに署名を作成し、StoreKitでの購入時に必要なパラメータを含めると購入可能になります。
StoreKit Testingではローカルで秘密鍵を作成可能で、それをもとに署名を行うことで購入テストが可能になります。
残念ながらiOS14から使用可能になったもうひとつのオファーである、オファーコード
はStoreKit Testingで使用することはまだできないようです。
参照
Configuration Fileを設定する
Product > Scheme > Edit Scheme > Runを開き、 以下画像のように作成したConfiguration Fileを設定します。
Schemeごとに設定可能なので、 任意のSchemeに作成したConfiguration Fileを設定することでStoreKit Testingでの購入が有効になります。
様々なデバッグ
StoreKitTestingでは様々な購入デバッグが可能です。
以下のようなものが設定可能です。
- 既定購入ストアの設定(購入する国別ストアの選択)
- 既定表示言語
- タイムレート(購入有効期限の時間短縮率)
- 購入割込のデバッグ有効化
- トランザクションを失敗させる(エラー種別も選択可能)
- 購入確認の表示
- プロモーションオファーのローカル秘密鍵とKeyIDの生成
- ローカル証明書の生成(StoreKitTestingでのレシート検証のため)
※選択できるエラー種別
またトランザクションの管理も行うことができます。
まとめ
StoreKitTestingの設定方法をかんたんにまとめてみましたがいかがだったでしょうか。
今まで開発中は実機でSandboxでの課金テストを行っていましたが、StoreKitTestingによって開発効率は上がったように感じます。 直近ではプロモーションオファー関連の開発デバッグを簡単に行うことが出来、導入のメリットを感じることができました。
課金テストの自動化など安全面でも導入の強みはあるのではないかと思いますので、 まだ未導入の方もしくはIn App Purchase実装の練習をしたい方などはぜひお試しを!