every Tech Blog

株式会社エブリーのTech Blogです。

ビジネスサイドにChatGPTの利用を習慣づけられるといいなーと思ってる話

はじめまして、データ&AIチームのoyabuです。データストラテジストというデータアナリストみたいな仕事をしてます

具体的には「DELISH KITCHEN」アプリのデータを抽出、分析して食品メーカーなどのクライアントさまの施策や提案にご活用頂く仕事をしています

今回はLLM(ChatGPT、OpenInterpreter)をビジネスサイドに活用してもらうためにやったことの話をします

まだ始めたばかりなので、成果自体はそんなに出てないですが、考えたことや、得られた知見を共有したいと思います

やったことは以下です

  • ChatGPTの使い方ドキュメントの作成(禁忌とユースケースの整理)
  • ChatGPTの使い方勉強会
  • OpenInterpreterを隣に座ってるカスタマーサクセスの方に試してもらう

きっかけ(課題感)

そもそもこんなことをやり始めたきっかけとしては以下な感じです

  • 大前提としてLLMが猛威をふるっており、自分としても十分その利益を享受している
    • ビジネスマンにとって、ChatGPTスキル = 今のExcelスキルぐらいになることは目に見えてる
  • ビジネスサイドでもChatGPTを使ってる人はいるが、あんまり会話に出てこない
    • 社内のSlackを漁ってもChatGPTの話をしてる人はだいたいエンジニア
    • 貼ってるアンテナ的にもそもそもの周辺情報がエンジニアには集まって来やすい
    • 気になってはいて、1回試したものの、業務に使うイメージが湧いてない方がなんだかんだ多いのかなーという妄想
  • 向き合いの部署としばらく働いて、業務もなんとなくわかってきて、細かい施策単位でChatGPTで解決出来そうなものが見えてきた
  • 社内用のChatツールが出来て、直接業務に関わる内容をフランクに聞ける環境が整った
  • 社内の運用ルール/tipsを集めたドキュメントがそもそも不在

やったこととその目的、成果/得られた知見

目的

目的はChatGPTによる、ビジネスサイドの工数削減/クオリティアップです

とりあえずは利用習慣化を目標とし、そのために以下の2点を達成するため施策を実行しました

  • ChatGPTが身近なツールだと思ってもらう
  • ChatGPTで出来ること/苦手なことを知ってもらう

習慣化の初期段階で重要なのはフリークエンシー、敵は低いモチベーションと高いハードルなので とりあえずそこを気にした施策の設計をしました

具体的にやったこと

ChatGPTの使い方ドキュメントの作成

最低限の禁忌的なルールは書きつつ、業務にそったユースケースを中心に書きました。そうした理由は以下です

  • 各人の業務に近い部分のコンテンツを拡充することで、多様な各人の興味に引っかかりやすくするため
  • 理想論でいえば、成り立ちや理論を知ることは大事ですが、興味のない人がおおそう

また完全にその業務をChatGPTで解決することは難しいかもしれませんが、今後の工数短縮やクオリティアップを見越した プロンプトのタタキが存在すること自体が重要だと思っているので、ちょっとでも解決出来そうなことがあるならとりあえず ユースケースとして入れておきました。プロンプトの夢を見ました(天啓もありました)

ドキュメント化にあたっては、なるべくバラエティに富んだユースケースを盛り込むようにしました。たとえば以下のようなカテゴリで、業務に近いユースケースを盛り込みました

  • ブレスト系
  • 従来の業務の工数を下げる系
  • 従来の業務のクオリティを上げる系
  • 直近のChatGPT Plusの機能内容
  • OpenInterpreterでより複雑なことができる話

ChatGPTの使い方勉強会

これは上記のドキュメントをそのままデモ的に紹介しました

ドキュメントが読まれないのは世の常。ある程度お時間をお借りして(今回は1時間)集中してChatGPTについて考えてもらう必要があります

共通の体験を通じて、話題にのぼりやすく、近くの席で口頭での知見の共有につながるのも勉強会の利点だと思います

やった結果はというと、「いままでChatGPTには正解のある答えを聞いて嘘つかれて使えないと思ってたけど、ブレストにめっちゃ使える!」など ちょこちょこ良い反応は得られました

作戦通りユースケースを色々紹介したことで、各々の業務での活用イメージを具体的にもってくれたようでした

とはいえ、あくまでも習慣化のための一歩目なので、ナレッジシェアやOJT的な動きは継続して行っていく必要があります

OpenInterpreterを隣に座ってるカスタマーサクセスの方に試してもらう

継続的にChatGPTに興味をもってもらうために、何か飛び道具的な実績が必要だと考えました

OpenInterpreterまじですごいという話を聞いたので、これを使ってみることにしました

ちなみに同じチームのfuruhama-sanがOpenInterpreterの実装を深掘りしてるので、ご興味のある方は見てみると面白いです

tech.every.tv

OpenInterpreterのメリットの紹介はfuruhama-sanの記事を読んで頂くと分かりますが、今回魅力に感じたのは以下なことでした

  • GoogleColaboratoryという簡単に用意できる閉じた環境での実行がしやすい
  • ローカルのファイルの閲覧/編集ができる(今回はマウントしたGoogleDrive)

上記を活かして、ドメイン知識を持つビジネスサイドがある程度のデータ分析まで自立的に行えると 今後の分析業務のハードルが下がり、より濃い示唆や知見が財産として効率的に貯蓄されるメリットもあります

もちろん一筋縄でいくとは思っていませんが、その第一歩として、隣にいる人に無理を言ってOpenInterpreterを使って頂きました

マジ感謝です。隣の人なので仮にTさんと呼びましょう。Tさんはプログラミングができないカスタマーサクセスっぽい立ち位置のひとです

やったことは以下です

  • CSV形式で出力されたアンケート結果をOpenInterpreterでクロス集計する
    • おまじないをたくさん書いたGoogleColaboratoryを事前に用意
    • Tさんからやりたいことを聞いて、思想を説明しながら仮のプロンプトを目の前で書いてみる
    • OpenInterpreterがコードの実行要否を聞いてくるので、Tさんに深く考えずにどんどん実行の指示を出してもらう
      • 意図した結果ではない、処理に時間がかかるなら再度プロンプトを見つめ直すを繰り返す

結果として特定のアンケート項目をその他の項目とクロス集計したものが20個くらい得られました

エラーへの対処や、僕がColabの仕様に疎いこともあり、Tさんのお時間はそれなりに頂いてしまったのですが(4h+α)、 わりと喜んで頂けました

というのも、そもそも今回のアンケート結果のクロス集計は従来以下の問題を抱えていたようでした

  • 時間がかかる
  • ひとつひとつのクロス集計のために都度数式を組む必要があるので精神的につらい

Tさんとしては、成果物を得られたことももちろんですが、上記を自分の手でやらなくてよい。ということに好印象を持っていたようでした

また、エラーが出たときに落ちるのではなく、エラーの内容を理解した上で再度修正の処理をかけてくれるのはめっちゃ嬉しいとも仰っていました

最終的には愛着を訴えており、ひたすらこちらから命令を与えているのですが、自己再生をするだけで親近感が芽生えるのは大変興味深い現象でした

たしかにOpenInterpreterは内省にもにた処理を繰り返すのがひとつ特徴で、それが悩んでいるように見えるのが人間性を感じるポイントなのかもしれません

逆に以下の点がつらそうでした

  • インタラクティブに処理実行の有無を聞かれるので、常に判断を求められる
  • コードがガンガン出力されるが意味がわからん
  • なんだかんだめんどくさい

ここは実験する前にある程度予測はしていたのですがやはりそうか。という感じです

事前のauto_runの設定や、temperatureの調整/プロンプトの精錬である程度解決できそうではありますが、 目まぐるしく出力される情報に知らず知らずのうちに可処分精神が消費されているようでした

例えばGASを整えたスプレッドシートを提供するなどで、局所的な解決は可能な課題でしたが OpenInterpreterである程度柔軟に課題を解決出来ることはわかったので、引き続きこれをうまく使ってビジネスサイドの課題解決を目指していきたいです

※ 余談ですがアップデート後OpenInterpreterがうまく動かなくなりました(10/16時点, ver: 0.1.7)

このissueの対応をすることで解決しました

https://github.com/KillianLucas/open-interpreter/issues/637

まとめ

以上、ビジネスサイドにChatGPTの利用を習慣づけられるといいなーと思った上で 色々やってみた話を書いてみました

とりあえず第一歩目としてドキュメントの作成/勉強会など実施し、それなりの反応は頂き、多少利用は促進できた実感はあります

とはいえ、今後習慣化のためには草の根運動が重要になってきます

ビジネスサイドで解決しやすそうな課題を見つけたらその場でChatGPTに解いてもらうなど 細かい体験を繰り返していくことで、初めて習慣や文化として根付くものだと思っているので、応援よろしくお願いします