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AWS Summit Japan 2025 参加レポート

AWS Summit Japan 2025 参加レポート

目次

はじめに

2025年6月25日(水)、26日(木)の2日間に渡り、幕張メッセにて AWS Summit Japan 2025 が開催され、 弊社の開発本部からも4名のエンジニアが参加しました。
7月11日までの期間限定でオンデマンド配信も行われているので、ぜひ公式サイトをチェックしてみてください。

aws.amazon.com

当日は非常に多くの参加者が訪れ、会場は大変盛り上がっていました。 ブースでは、様々な企業が AWS サービスの活用事例を紹介したりミニセッションを開催したりしていて、どこへ行こうか迷ってしまうほどで、 イベントの盛り上がりが強く感じられました。

本参加レポートでは、弊社のエンジニアが参加したセッションの中から、 印象に残ったものをご紹介したいと思います。

メッセージボード
メッセージボード
ステージ風景
ステージ風景

参加レポート

Amazon の事例から学ぶ生成 AI の実践的な活用と実装アプローチ

発表者: 田原 慎也さん(アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社) レポート: 塚田

開発本部開発1部デリッシュキッチン開発部の塚田です。 私からは「Amazon の事例から学ぶ生成 AI の実践的な活用と実装アプローチ」の発表内容をご紹介します。

このセッションではAmazon社がどのようにAIを活用しそして改善していたっかの事例も含めて紹介されるものでした。

まず、2023年はPoCを企業としては取り組んでいたが今ではどのようにAI(生成AI)を自身のプロダクト、システムに応用するかを考えていると全体感を話されていました。 弊社でもデリッシュAI(Blog最後に資料等のリンクがあります)をはじめとしたAI活用を社内外問わず進めているので、そういった状況に置かれているのは身に染みて感じています。

初めにAmazonが実際にどのようにAIを活用しているのかAI creative studioを例に様々なデモをもとに紹介いただきました。

  • 一つの画像から
    • 異なるコンセプトの画像を生成する
    • 画像の調整をする
    • 映像を作成する

これらのことが実施でき利用ユーザは本来集中するべき作業に時間を費やすことができるようになると感じました

次に、Amazonの商品ページを例にどのようにAIを活用しているかの紹介がありました。 Image Generatorというシステムの内容を構成図をもとに解説いただきました。 SageMakerAIを並列で活用する構成で生成させた成果物をSageMaker Ground Truthを活用して評価を行っているとのことでした。

ここで責任あるAIの話がありました。 昨年のAWS Summitでも責任あるAIという言葉は出ていましたが、その考え方を取り入れながら実際のプロダクトを構築していることが感じられました。

発表中2023年当時と現在の生成AIで出力された画像(映像)をサンプルとして表示されましたが、 これを実現するためには既存の処理に必要な仕組みを追加することで実現できていました。 ただし、より複雑になっていくとデータサイエンティストとエンジニアとのコミュニケーションが発生していくことになりここを改善するために オリジナルのカスタムSDKを作ったとのことでした。 これを活用することでデータサイエンティストは内部の処理はラップされやりたいことに集中できるようになったとのことでした。

こういった技術を使い利用者への影響が生産性を高くすることができていると発言がありました。

弊社内でも積極的にAIを社内外で活用していき生産性を高めていくことはもちろんですが、責任あるAIの意識も持ちながら開発していきたいと感じたセッションでした。

AI Agent時代のソフトウェア開発の型 〜Everything as Codeで叡智を伝える〜

発表者: ⾼野 賢司さん(アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社) レポート: hond

開発本部開発1部デリシュキッチンAWGのhondです。 僕からは⾼野賢司さんによる「AI Agent時代のソフトウェア開発の型 〜Everything as Codeで叡智を伝える〜」の発表を紹介します。

AI Agent時代の現在までの変化を踏まえて、これからの時代の課題として「AIが意図した通りに動いてくれない」と「AI駆動開発のスキルや価値が周囲の⼈に伝わらない」の二点を挙げ、それらに対する解決策を提案されていました。

まず初めに「AIが意図した通りに動いてくれない」の解決策としてはタイトルにあるようにEverything as Codeが提案されていました。
Everything as CodeとはInfrastructure as Codeをはじめ、Observability as Code、Database as Codeなどのあらゆるものをコードとして管理することで変更追跡を可能にする手法です。詳細についてはAWS Well-Architectedに記述されています。 これによって再現性と一貫性が担保されるだけでなく、AIが理解できる形式になっていることで人間しか知らないコンテキストをなくす効果があります。

次に「AI駆動開発のスキルや価値が周囲の⼈に伝わらない」のパートでは、そもそもソフトウェアでビジネス価値を提供するとはどういうことかを振り返りつつ、AI駆動開発で期待すべき効果を振り返り、解決策が提案されていました。
AI駆動開発とは一朝一夕で身につくものではなく、時間をかけてマスターして初めて価値に気づくものだと言及されていて、それはまさに「型」であると紹介されていました。
「型」については「型」の再考からの引用で 「型」に含まれる叡智は、学習者にとって当初は未知であり、学習過程で内在化することで把握できるものである。 と定義されていて、組織としては「共通認識の醸成」と「場の提供」を行うことで習得する環境を整えられると紹介されていました。

Everything as Codeのアプローチに関しては弊社でもAtlassian MCPを使うなどしてなるべくAIとのコンテキスト差を減らすアプローチを試していましたが、Everything as Codeほど全てをコードで管理するところまでは至っていなかったのでまだまだコードやドキュメントとして落とし込んでいく必要があると感じました。
組織としてのアプローチに関しては「AIツールを活用した開発効率化勉強会」として社内でハンズオンを含む勉強会を開始したのですが、そのアプローチが間違っていないことを再確認できました。しかし、「共通認識の醸成」については加速できておらず、個人の情報収集能力に頼っている部分があるのでより一層力を入れていく必要があると感じました。

AI によってシステム障害が増える!?〜AI エージェント時代だからこそ必要な、インシデントとの向き合い方〜

発表者: 草間 一人さん(PagerDuty株式会社 プロダクトエバンジェリスト) レポート: 庄司( ktanonymous )

資料はこちらからご覧いただけます。

開発本部開発1部トモニテ開発部所属の庄司です。 私からは、PagerDuty さんの AI エージェント時代におけるインシデントとの向き合い方についての発表をご紹介します。

こちらのセッションでは、冒頭にエレガントパズル1の『障害のほとんどはデプロイによって引き起こされる』という一節を引用し、デプロイに着目した時に、AI エージェント時代においてどのようなことが起こり、どのように向き合っていくべきなのかについてお話しいただきました。
AI の発展に伴い開発スピードが向上すると同時に、成果物をリリースする頻度も増加します。 すなわち、AI の発展に伴いデプロイ回数が増加していき、同時に、障害の発生頻度も増加すると言えます。
これを踏まえて、AI によって増加するインシデントに対して、AI の利用を止めるのではなく、AI を活用しながらインシデント対応していくべきだと言及されました。

ここでは、AI によるインシデント対応の考え方として、以下の3つの分類が紹介されました。

  1. 全くの未知で新しいインシデント
  2. 部分的には理解できているインシデント
  3. 十分に理解できているインシデント

セッション中では、理解度が高いものであるほど AI 主導での対応が可能になるとして、 十分に理解できているような現象に対しては完全に AI で対応してしまって良いのではないかと言及されました。
一方で、未知の現象に対しては、まだまだ AI だけでの対応は難しく、人間が主導して AI を補助役として利用していくのが良いと言及されました。

AI によって生産性を向上させることは非常に重要なことですが、 それに伴ってインシデントの発生が増加することはあくまでも自然なことであると捉えられる側面もあり、 「インシデント」という確実な対応が求められる領域だからこそ、適切な AI の活用がしっかり考えていきたいと感じました。

生成AI活用で見えてきた3つの課題~精度・セキュリティ・推進体制~

発表者:村上 博哉さん(株式会社サーバーワークス カスタマーサクセス部 CS4課 課長) レポート: 新谷

開発本部開発1部デリッシュキッチン開発部所属の新谷です。 私からは、サーバーワークスさんの「生成 AI 活用で見えてきた 3 つの課題 ~精度・セキュリティ・推進体制~」のセッションから、AI活用における3つの課題と対策についてご紹介します。

このセッションでは、多くの企業が生成AI導入で直面する3つの主要な課題として、「精度」「セキュリティ」「推進体制」が挙げられました。

  1. 精度の課題
    ハルシネーションは完全には避けられない現象であり、生成AIに100%の精度を期待すべきではないという前提が示されました。対策として以下が紹介されました。

    • temperatureパラメータによる回答の一貫性と多様性の制御
    • 「階層的チャンキング」などの技術を活用したRAGの高度化

    階層的チャンキングでは、検索対象の情報だけでなく、その周辺情報もAIに渡すことで、より文脈に沿った回答生成が可能になります。

  2. セキュリティの課題
    リスクを体系的に整理することから始めることの重要性が強調されました。具体的なアプローチとして以下が有効だと説明されました。

    • 「生成 AI セキュリティスコーピングマトリックス」による利用形態に応じた対策範囲の明確化
    • 「OWASP Top 10 for LLM Applications」によるLLM特有のリスクの洗い出しと脆弱性の特定
  3. 推進体制の課題
    多くの企業が直面する人材・ノウハウ不足に対して、情報収集と実践経験の両輪で解決する必要があると言及されました。

    • 重要なのは「ゴール設定 → プロトタイピング → 評価」のサイクルを短期間で素早く回すこと
    • 小さな成功体験を積み重ねながら組織全体のノウハウを蓄積していく
    • 外部のPoC支援サービスを活用し、初期投資を抑えつつスタートを切る

弊社でも生成AIを活用したサービスを開発していますが、このセッションを通じて「技術検証だけでなく、KPIを設定した評価まで含めたサイクルを素早く回すことが成功の鍵」だと改めて実感しました。

弊社では生成AIを活用したサービスである「デリッシュAI」を開発しており、その詳細については以下の記事をご覧ください。

corp.every.tv

tech.every.tv

まとめ

AWS Summit Japan 2025 では、AI エージェント時代のソフトウェア開発やインシデント対応、生成 AI 活用の現場課題など、最新の技術トレンドや実践的な知見が数多く共有されました。 AI 時代ならではの開発手法やインシデント対応の考え方、生成 AI 導入における精度・セキュリティ・推進体制の課題とその対策など、今後の開発現場で重要となる視点を多く得ることができました。
また、各セッションを通じて「AI を活用しながらも人間の知見や組織的な学びをどう蓄積・共有していくか」が共通のテーマとして捉えられるような印象を感じました。

今後もこうしたイベントを通じて、最新技術の動向をキャッチアップしつつ、現場での実践に活かしていきたいと感じました。

最後に

エブリーでは、ともに働く仲間を募集しています。

テックブログを読んで少しでもエブリーに興味を持っていただけた方は、ぜひ一度カジュアル面談にお越しください!

corp.every.tv

最後までお読みいただき、ありがとうございました!