
開発1部でデリッシュリサーチ開発を担当している塚田です。
今回は基盤として利用しているAWSサービスのコストについてどのように改善するべきかを考える機会があり、事象としてレアケースかもしれませんが、記事として公開させていただきます。
はじめに
エブリーでは「AIファースト・カンパニー」に向けて様々な取り組みを進めています。 技術的な取り組みについては本テックブログに記事を多数公開していますのでご参照いただければと思います。
今回はその中でデリッシュリサーチのビジュアライズに利用しているAmazon QuickSight(以降QuickSightと記載)に関するAI機能でつまづいてしまった内容をまとめたいと思います。
つまづいたといっても技術的な内容ではなく、コストに関する内容となっています。
エンジニアとしてはサービスを利用する際に拡張性や導入の容易さばかりに目が行きがちですが、実際の運用においてはコスト管理も重要な要素です。特に生成AI機能を活用する際は、その利用料金体系を正しく理解しておくことが、サービスの持続的な活用に欠かせないと感じています。
Amazon Q とは? (QuickSight 文脈で)
Amazon Q は、AWSが開発した生成AIアシスタントです。ドキュメントの要約やコード生成など、様々な業務を支援する機能を持っています。QuickSightにおける Amazon Q は、この強力な生成AI機能をデータ分析に応用したものです。
具体的には、QuickSight 上で「去年の売上トップ3の製品は?」「先月と比較してコンバージョン率はどう変化した?」といった自然言語で質問するだけで、Qがその意図を理解し、適切なデータ分析を行い、グラフや表、あるいは文章によるサマリーとして結果を返してくれます。
こちらの機能については別途ブログとして記載していますので興味があればご確認ください
Amazon Q をQuickSightで利用するには
QuickSightの料金ページを見ていただくと記載がありますが、作成者プロのロールを管理画面で選択することで利用が可能になります。
一見するとユーザーあたり月額のコストがかかるイメージを持ってしまっていましたが、注意書きとしてアカウント(ユーザーではなく)ごとに250USD/月のAmazon Qの有効化に関わる料金が適用されると記載があります。
この認識が持てていなかったため、利用開始後に想定外のコストが発生する形となってしまいました。
どのようにAmazon Q in QuickSightを利用したか
今回はPoCとしてどの程度プロダクトに組み込めるかを検証するために利用しました。
Amazon Q トピックを使った自然言語でデータ分析ができないかを中心に活用を行い一定の知見とノウハウを得ることができました。
該当のユーザーのロールを管理者プロから管理者に変更することで必要以上のコストがかからないようにしPoCは終えました。
想定外のコストがかかっていることが判明
PoC後、月初に定期処理でコストを確認したところQuickSightでのコスト増加が判明しました。
詳細を確認したところ先に記載したAmazon Qの有効化に関わる料金が発生していることがわかりました。
そのためドキュメントに従い各種手順を実施しました。
しかしながらAmazon Qは無効にならず料金が発生し続ける状況となっていました。
再度ドキュメントに沿って処理を行なったり試行錯誤を行いましたが改善せず、最終的には対応した月の翌月の月初に確認した際にAmazon Qが無効化されていることがわかりました。どうやら設定変更が即時反映されるわけではなく、月単位で処理される仕様のようでした。
終わりに
今回は、Amazon Q in QuickSightの利用で発生したコストの問題について、原因と対応策を共有しました。
PoC自体はAmazon Qの有用性を確認できる有意義なものでした。この経験を無駄にせず、今後はコスト管理のプロセスを強化し、より計画的な技術検証を進めていければと考えています。本記事が、同様の課題に直面する可能性のある方々の参考になれば幸いです。